訪問看護ステーションの新規利用者は、その多くがケアマネジャー(居宅介護支援事業所)と病院からの紹介で決まります。チラシやWebサイトから直接依頼が来ることは、ゼロではありませんが例外です。つまり、稼働率と経営の安定は「紹介元との関係づくり」にかかっています。
この記事では、紹介が減っていく典型的なパターンと、明日から始められる対策の基本をまとめます。
紹介が減る最大の理由は「忘れられること」
紹介が減ったステーションに聞くと、「サービスの質が落ちたわけでも、トラブルがあったわけでもない」というケースがほとんどです。実際に起きているのは、もっと単純なことです。
ケアマネジャーの頭の中の候補リストから、静かに外れていく。
ケアマネジャーは担当利用者のケアプランを回しながら、常に複数の事業所と連絡を取っています。新しい訪問看護の依頼が発生したとき、頭に浮かぶのは「最近やり取りした」「空き状況を知っている」ステーションです。半年顔を見ていないステーションは、嫌われたのではなく、思い出されなかっただけです。
これは裏を返せば、質を上げなくても「忘れられない仕組み」を作るだけで紹介は守れる、ということでもあります。
対策の基本は「最後に会ってから何日か」を全件把握すること
営業を強化しようとすると、つい「訪問件数を増やす」方向に行きがちです。しかし人員に余裕のないステーションで営業時間を増やすのは現実的ではありません。
先に整えるべきは、どの紹介元と、いつ、誰が、何を話したかの記録です。
- 紹介元ごとに「最終接点日」が分かる状態にする
- 一定期間(例えば60日)空いた紹介元を、毎週の申し送りで確認する
- 空いた先から優先的に、短時間の挨拶や空き情報の連絡を入れる
つまり、営業を「頑張る」のではなく「漏れを検知する」仕組みに変えます。営業が得意な人の勘に頼らず、誰が見ても同じ判断ができるようになるのがポイントです。
訪問しなくても接点は作れる
接点=訪問と考えると負担が大きくなります。実務では、次のような軽い接点でも「忘れられない」効果があります。
| 接点の種類 | 所要時間 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 空き状況のFAX・電話連絡 | 5分 | 空き枠が出たとき。最も喜ばれる情報 |
| 担当者会議のついでの挨拶 | 5分 | すでに外出している日の帰り道 |
| 新しい対応可能処置の案内 | 10分 | 看護師の入職・研修修了のタイミング |
| 訪問(手土産なしで可) | 30分 | 紹介実績のある重点先へ月1回程度 |
大切なのは、これらの接点も記録に残すことです。電話1本でも記録しておけば「最終接点日」が更新され、次に動くべき先が正しく判断できます。
記録は「次の一手」が書けて初めて機能する
営業記録を付けているステーションでも、「訪問した」「挨拶した」だけの記録になっていることが少なくありません。次の判断に使える記録には、最低限この3つが必要です。
- 相手の状況 — 担当件数が増えている、医療依存度の高い利用者を探している、など
- 伝えたこと — 空き状況、対応可能な処置、営業時間
- 次の一手 — いつ頃、何をきっかけに、再度接点を持つか
紙のノートやExcelでも運用は可能です。ただし事業所数が30を超えたあたりから「最終接点日で並べ替えて漏れを見つける」作業が毎週の負担になり、属人化しやすくなります。そこを自動化するのが、MediChartのような営業管理ツールの役割です(最終営業日からの経過日数を自動計算し、フォローが途絶えた紹介元を検知します)。
まとめ:明日からやる3つ
- 紹介元の一覧を作り、それぞれの「最後に接点を持った日」を書き出す
- 60日以上空いている先を洗い出し、電話や空き情報の連絡から再接点を作る
- 以後の接点はどんなに小さくても記録し、週1回「空きすぎた先」を確認する
紹介は、忘れられなければ減りません。仕組みで「忘れられないステーション」になることが、ケアマネ営業の基本です。