営業管理システムの比較記事は、たいてい製品を売りたい側が書いています。この記事も訪問看護向け営業管理システム「MediChart」の運営チームが書いていますが、まず「導入しない方がよい場合」から始めます。判断材料にならない比較には意味がないからです。
そもそも導入すべきか
次のどれも当てはまらないなら、導入は見送って構いません。Excelでの営業管理で十分回ります。
- 営業を複数人で分担している
- 最終接点日が追えず、フォロー漏れが起きている
- 「あの居宅は◯◯さんしか知らない」という属人化が起きている
- 事務所のPCでしか記録できず、訪問先で書けないので記録が空く
- 紹介実績の集計が月末の負担になっている
逆に、ひとつでも当てはまるなら検討の価値があります。以下の7観点で比べてください。
比較すべき7つの観点
1. 訪問先・移動中に入力できるか
営業記録が続かない最大の原因は「書く場所が事務所のPCしかない」ことです。記憶は3日で薄れます。スマホで1分以内に1件書けるかを最初に確認してください。デモで実際に自分のスマホから入力させてもらうのが確実です。
2. 最終接点日が一覧で見えるか
営業管理の心臓部はここです。紹介元ごとに「最後に接触した日」が並び、古い順に並べ替えられること。これができないツールは、高機能でも営業管理には向きません。
3. 紹介元を軸に管理できるか
訪問看護の営業は、居宅介護支援事業所・病院の地域連携室・地域包括支援センターという組織と、そこに所属する担当者の二層構造です。担当者が異動しても事業所との関係が残る設計になっているかを確認します。
4. スタッフ間で共有・引き継ぎできるか
退職や異動で関係が消えないことが、ツールを入れる主目的のひとつです。誰が見ても過去の経緯がわかるか。閲覧権限を分けられるかも、規模が大きいステーションでは効いてきます。
5. 紹介実績と結びつくか
「営業した」だけでなく「どの紹介元から何件来たか」が見えて初めて、営業先の優先順位を付けられます(→営業先リストの作り方)。稼働率の維持に直結する部分です。
6. 既存データを移行できるか
すでにExcelや紙で管理している営業先を、取り込めるか。ゼロから手入力させる製品は、その時点で定着しにくくなります。取り込み方法と、逆にデータを持ち出せるか(CSV等でエクスポートできるか)の両方を確認してください。
7. 費用と解約条件
月額だけで比べないでください。見るべきは次の4点です。
| 確認項目 | なぜ重要か |
|---|---|
| 初期費用 | 月額が安くても初期で回収される場合がある |
| 最低利用期間 | 合わなかったときに抜けられるか |
| 解約時のデータ | 蓄積した営業記録を持ち出せるか |
| 人数・拠点の課金単位 | スタッフを増やすと総額が変わる |
導入して失敗する典型パターン
製品の良し悪しより、次の3つで失敗します。
- 入力ルールを決めずに始める——「接点があったら当日中に1行」だけ決めれば十分です
- 管理者だけが使う——全員が書かないと、最終接点日が信用できなくなります
- 機能を全部使おうとする——最初は「営業先の登録」と「記録1行」だけで回してください
導入から定着までの具体的な手順は営業管理ツールの導入と定着にまとめました。
まとめ
- 困っていないなら導入しなくてよい。Excelで十分な段階がある
- 比較の軸は「スマホ入力・最終接点日・紹介元軸・共有・実績連動・データ移行・総額」の7つ
- 電子カルテと営業管理は別物。両方必要かは自分たちの課題で決める
- 失敗の原因は製品よりも運用。ルールは1つに絞って始める