稼働率は、訪問看護ステーションの経営状態を最も端的に表す指標です。訪問件数がそのまま収益になるビジネスモデルである以上、「訪問できるのに訪問が入っていない枠」は、そのまま逸失収益になります。
この記事では、稼働率を分解して「どこに手を打てば上がるのか」を整理します。
稼働率を決める3つの要素
稼働率は次の3つの掛け算で決まります。
- 新規利用者の流入——紹介元からの新規依頼
- 利用終了の流出——入院・施設入所・逝去・サービス終了
- 訪問効率——移動時間・キャンセル・ルート編成
このうち②の流出は、ステーション側でコントロールできません。利用者の状態変化で終了するのは訪問看護の性質そのものだからです。だからこそ、稼働率の維持は「①の流入をいかに安定させるか」の勝負になります。
流入を安定させる=紹介元との接点を切らさない
新規依頼は、ケアマネジャーや地域連携室が「そういえばあそこに聞いてみよう」と思い出した瞬間に生まれます。つまり流入の安定とは、紹介元の候補リストに載り続けることです。
具体的には次の循環を回します。
- 営業先リストを整備し、定期的に回る(→営業先リストの作り方)
- 接点を記録し、最終接点日が空いた先を検知する(→営業のコツ)
- 空き枠が出たら、空き情報として紹介元に知らせる(→空き情報の伝え方)
特に3つ目が重要です。利用終了で枠が空いたとき、それを黙っていれば空床のままですが、「今週から◯曜日午前に枠が空きました」と紹介元に伝われば、枠はそのまま営業材料になります。稼働率の管理と空き情報の発信はセットです。
訪問効率——同じ利用者数でも枠は増やせる
流入の土台があったうえで、効率改善には次の余地があります。
- エリアの集約——移動時間が減れば1日の訪問可能件数が増える。営業段階から対応エリアを絞ることが効いてくる
- キャンセル時の代替——キャンセル発生時に「近隣で前倒しできる利用者」に振り替える運用を決めておく
- 曜日・時間帯の偏り解消——希望が集中する枠と空く枠を把握し、新規の調整時に空き枠へ誘導する
これらはすべて「どの曜日のどの枠が空いているか」を即答できることが前提です。管理表の作り方はExcelでの営業管理で配布しているテンプレートが使えます。
「断り」は稼働率の敵か
空きがないときに依頼を断ると、稼働率は保てても紹介元との関係が心配になります。ここで大切なのは断り方です。
- 「今は満床です」で終えず、「◯月頃に枠が空く見込みです。空き次第ご連絡してよいですか」と添える
- 実際に空いたら、断った相手に最初に連絡する
依頼を断った相手への「空きました」の連絡は、最も刺さる営業連絡のひとつです。断りの記録も営業記録に残しておきましょう(→営業記録の書き方)。
まとめ
- 稼働率=流入(新規紹介)−流出(利用終了)×訪問効率。流出は制御できない
- だから稼働率対策の本丸は、紹介元との接点を切らさない営業の仕組み
- 枠が空いたら空き情報として発信する。稼働率管理と空き情報はセット
- 断るときは「空いたら連絡します」を添え、空いたら本当に連絡する