訪問看護ステーションは、常勤換算2.5人という小さな体制から開設できます。しかし開設した瞬間から、利用者ゼロ・紹介ゼロの状態で固定費だけが出ていきます。最初の90日の営業は、経営の立ち上がり速度をそのまま決めます。
この記事では、開設後90日を30日ごとに区切った営業計画を示します。
0〜30日目——「知られる」ための土台づくり
最初の1か月の目標は、紹介を取ることではなく、対応エリアの紹介元に存在を知られることです。
- 営業先リストを作る——対応エリア内の居宅介護支援事業所・地域包括支援センター・主要病院を全件洗い出す(→営業先リストの作り方)
- 一枚もの資料を作る——対応エリア・対応できる医療処置と体制・24時間対応の有無・空き状況・直通連絡先の5点
- 挨拶回りを始める——リスト上位(近い先・併設法人の居宅)から。回り方は挨拶回りの実務を参照
- 前職・人脈への開設報告——これまで一緒に働いた医療・介護関係者への報告は、最初の紹介の現実的な源泉
この時期の営業は断られてもゼロ距離のままではありません。「開設したばかりで空きが十分ある」ことは、この時期にしか使えない強みです。
31〜60日目——接点の2周目と病院営業
2か月目は、1周目の挨拶を「点」から「線」に変えます。
- 2周目の接点を作る——初回挨拶から間を置かず、空き情報を持って2回目の接触(→空き情報の伝え方)。訪問でなく電話・FAXでもよい
- 病院・地域連携室への営業を開始する——居宅より判断が速く、医療依存度の高いケースが来る。伝え方は病院・地域連携室への営業を参照
- 営業記録の運用を固める——「接点があったら当日中に1行」。この習慣は今作らないと一生できない(→営業記録の書き方)
61〜90日目——初回紹介を「2件目」につなげる
3か月目までに最初の紹介が来始めたら、その対応が営業のすべてになります。
- 依頼にはその日のうちに回答する——速さ自体が評価される
- 受けたら、経過を紹介元に報告する——開始後の様子を簡潔に。この報告が「次も頼める」の根拠になる
- 紹介がまだない先にも、実績を情報として届ける——「◯◯のようなケースを受け入れました(守秘義務の範囲で)」は、対応力の証明になる
初回紹介への対応品質は、その紹介元からの2件目・3件目を決めます。1件の紹介を「1件」で終わらせず、関係の起点にすることが90日目の到達点です。
90日計画の全体像
| 期間 | 主目標 | 主な活動 |
|---|---|---|
| 0〜30日 | 存在を知られる | リスト整備・一枚もの・挨拶回り1周目・人脈への開設報告 |
| 31〜60日 | 接点を線にする | 空き情報で2周目・病院営業開始・記録の習慣化 |
| 61〜90日 | 初回紹介→2件目 | 即答・経過報告・実績の情報提供 |
なお、90日で営業が「終わる」わけではありません。ここで作った接点の管理(最終接点日・次アクション)を回し続けることが、その後の稼働率を支えます。全体の考え方はケアマネ営業の基本にまとめています。
まとめ
- 最初の30日は紹介獲得より「知られること」。リスト・一枚もの・挨拶回り
- 2か月目は空き情報で2周目の接点を作り、病院営業を始める
- 3か月目は初回紹介への即答と経過報告で「2件目」につなげる
- 利用者が少ない今こそ営業時間を確保できる唯一の時期。序盤の貯金が後々まで効く