訪問看護の営業管理には、紙・Excel・専用ツールの3つの方式があります。上位互換の関係ではありません。規模と体制によって最適解が変わります。
3方式の比較
| 観点 | 紙(ノート・台帳) | Excel | 専用ツール |
|---|---|---|---|
| 導入コスト | ほぼゼロ | ほぼゼロ | 月額費用が発生 |
| 訪問先での入力 | 得意 | 苦手(PCが必要) | 得意(スマホ) |
| 検索・並べ替え | できない | できる | できる |
| 複数人の同時利用 | できない | 競合しやすい | 前提として設計される |
| 最終接点日の把握 | 手作業 | 並べ替えで可能 | 自動で可視化 |
| 紹介実績との連動 | 手集計 | 手集計 | 連動する製品が多い |
| 引き継ぎ | 属人化しやすい | ファイル次第 | 記録が残る |
| 向く規模 | 紹介元〜20件・担当1人 | 〜100件・担当1〜2人 | 複数人で分担 |
紙が向く場合
開設直後で紹介元が少なく、管理者が1人で営業を担っているなら、紙で十分です。訪問の合間にすぐ書けるという点では、紙が最も速い方式でもあります。
紙の限界は共有と検索です。「先月どこに行ったか」を探すのに時間がかかり始めたら、次の方式を考える時期です。
Excelが向く場合
多くのステーションにとって現実的な選択肢です。営業先リストと営業記録の2表で管理でき、並べ替えとフィルタで「最終接点日が60日以上前の先」を拾えます。無料テンプレートも配布しています。
Excelの限界は次の4つです。詳しくはExcelでの営業管理に書きました。
- 訪問先で書けず、記録が空く
- 複数人が別ファイルを持ち、最新がわからなくなる
- 担当者しか知らない紹介元が生まれる
- 紹介実績の集計が月末の負担になる
専用ツールが向く場合
営業を複数人で分担しているステーションです。スタッフ全員が同じ場所に記録し、誰が見ても経緯がわかる状態を作れます。
ただし費用が発生し、入力ルールを決めて全員に浸透させる運用も必要です。「入れれば解決する」ものではありません。選ぶ観点は営業管理システムの選び方に7つまとめています。
乗り換えで失うもの
正直に書いておくと、方式を変えると失うものがあります。
- 紙 → Excel: 書き込みの速さ。手書きのメモ書きや図は再現しにくい
- Excel → 専用ツール: 自由度。Excelは列を好きに足せますが、ツールは決まった型に合わせる必要がある
- 共通: 移行直後は必ず一時的に生産性が落ちる。過去データを取り込めるかで落ち込みの深さが変わる
だからこそ、困っていない段階で乗り換える必要はありません。判断基準は「今の方式で最終接点日を信用できるか」の一点です。
まとめ
- 3方式は上位互換ではない。規模と体制で最適解が変わる
- 紹介元20件・担当1人なら紙、100件・1〜2人ならExcelで十分機能する
- 複数人で分担し始めたら専用ツールの検討時期
- 乗り換えには必ずコストがある。「最終接点日を信用できるか」で判断する