訪問看護の営業は、担当者の退職や異動で関係がまるごと消えやすい業務です。「あの居宅は◯◯さんしか知らない」という状態は、その人がいる間は問題になりませんが、いなくなった瞬間に紹介が途切れます。この記事では、引き継ぎの手順と、そもそも引き継ぎを不要にする運用を解説します。
属人化の何が問題か
営業が特定の人に依存していると、次のことが起きます。
- 退職と同時に、その人の頭の中にあった関係の履歴が消える
- 後任は「どこに行けばいいか」「何を話せばいいか」が分からず、挨拶回りをゼロからやり直す
- 紹介元から見ると、突然担当がいなくなり、接点が途絶える
紹介元の候補リストは、接点が途絶えると静かに入れ替わります。引き継ぎの遅れは、そのまま紹介の減少につながります。
引き継ぎの5つの手順
1. 営業先リストと最終接点日を棚卸しする
最初にやるのは訪問ではなく、リストの確認です。営業先ごとに最終接点日と紹介実績を並べ、「紹介をくれている先」「接点が空いている先」「未開拓の先」に分けます。リストがない場合は、営業先リストの作り方に沿って作り直します。
2. 営業記録を読む
前任の営業記録を、重点先から順に読みます。相手の担当者名、言われたこと、次アクションとして書かれていたこと。ここに書いてある内容が、後任の「最初の話題」になります。
3. 重点先に「担当交代の挨拶」を入れる
紹介実績のある先から順に、交代の挨拶をします。可能なら前任と同行、難しければ後任が単独で「前任の◯◯から引き継ぎました」と伝えます。このとき、記録に書かれていた前任とのやり取りに触れられると、「引き継がれている」ことが相手に伝わります。挨拶の持ち物と話し方は挨拶回りの実務と同じで構いません。
4. 空き情報で2周目の接点を作る
挨拶だけで終わらせず、数週間以内に空き情報を持って2回目の接点を作ります。「担当が変わっても情報が来る」ことを示すのが目的です。
5. 60日ルールを続ける
引き継ぎが落ち着いたら、週1回「最終接点日が60日以上空いた先」を確認する運用に戻します。引き継ぎ直後は接点が集中するので、その後の落ち込みを防ぐためです。運用の型は営業のコツにまとめています。
記録がない場合の立て直し
前任が記録を残していなかった場合、引き継ぐものがありません。この場合は、次の順で立て直します。
- 紹介実績(利用者の紹介元)から、実績のある紹介元を逆引きする
- その先に「担当交代のご挨拶」として訪問し、これまでの紹介へのお礼を伝える(→紹介元へのお礼と経過報告)
- 対応エリア内の営業先リストを作り直し、挨拶回りを1周する
時間はかかりますが、実績のある紹介元から始めれば、ゼロからのスタートよりは早く立ち上がります。
引き継ぎを不要にする日常
引き継ぎが大変になるのは、日常の記録が1人に集中しているからです。全員が「接点があったら当日中に1行」を残す運用にしておけば、誰が抜けても記録は残ります。営業を訪問のついでに分担する方法は営業のコツで、記録を全員で回す仕組みは営業管理ツールの導入と定着で解説しています。
まとめ
- 属人化の問題は、退職と同時に関係の履歴が消えること
- 引き継ぎは訪問より先にリストと記録の棚卸しから。重点先に「交代の挨拶」を入れる
- 挨拶の後に空き情報で2周目を作り、60日ルールに戻す
- 記録がなければ紹介実績から逆引きする。日常的に全員が記録していれば引き継ぎは要らない